筋膜単位とは?
「筋膜単位」とは、特定の方向に身体を動かす運動単位のグループと、それらを結びつける筋膜のネットワークで構成されています。筋膜単位は、筋肉や骨格といった運動器の動きを調整する構造的な基盤として働きます。
筋膜単位に存在する2つの中心点
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協調中心(CC:Coordination Center)
→ 運動のベクトルを同期させ、筋紡錘と相互作用 -
認知中心(CP:Perception Center)
→ 関節受容器と連携し、運動方向の情報を中枢神経に伝える
この2つの中心点は、運動の制御と感覚入力の両面において重要な役割を果たしています。
筋膜単位の構造とは?
各関節の運動は、6つの一方向性の筋膜単位によって制御されています。以下が主な構成要素です。
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単関節筋と二関節筋の線維(筋鞘内で部分的に自由に動く)
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深部の筋線維が浅部筋膜へと張力を伝える構造
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拮抗筋側の筋膜と連結した筋線維の一部
これらにより、筋膜単位は運動方向やバランスを精密に調整します。
単関節筋 vs 二関節筋
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単関節筋:短い運動ベクトル
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二関節筋:長い運動ベクトル
これらの組み合わせによって、身体は微細な動きもコントロールできるようになります。
重要なのは、筋の滑走性を保つこと。
筋外膜と皮膚、または隣接する筋肉の間に癒着があると、運動が阻害される可能性があります。
筋膜の結合組織:筋内膜・筋周膜・筋外膜
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筋内膜:単一筋線維を包む
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筋周膜:筋束を包む
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筋外膜(筋上膜):筋全体を包む
これらの膜は、コラーゲンと弾性繊維から成り、筋肉の骨格として機能します。
結合組織に作用する2つの牽引
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内的な伸張
→ 筋紡錘の収縮が筋内膜・筋周膜を伸張(運動前の準備反応) -
外的な伸張
→ 外部からの刺激により、筋外膜が伸張されて反射的に筋が収縮(転倒防止など)
この伸張が常に続くと筋機能に悪影響が出るため、特定のCC(協調中心)による調整が必要です。
深筋膜がうまく機能するための条件
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筋膜の一部が筋線維上を自由に滑走できること
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筋膜の一部が骨に固定され、方向性ある張力を伝えること
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動筋と拮抗筋の筋膜単位を区別する構造があること
筋膜単位に関する用語
筋膜単位における動筋と拮抗筋
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動筋(Agonist):動きを生み出す主動作筋
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拮抗筋(Antagonist):動筋と反対の動きを制御する筋
筋膜単位のバランスは、この動筋と拮抗筋の協調関係によって成り立っています。
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