🧠 背部の筋膜|メモまとめ
背部の筋膜は、後頭骨の上項線から骨盤領域に至る広範な筋膜構造で、筋や関節と密接に連携して体幹の安定性や運動連鎖に重要な役割を果たす。構造的には「浅筋膜」と「深筋膜」に分けられる。
🔹 浅筋膜(superficial fascia)
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非常に厚く、脂肪組織が豊富(特に女性で顕著)。
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僧帽筋上では薄く筋に密着。
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棘突起に沿って深筋膜に付着。
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**中隔(隔壁)**を形成し、正中で左右の筋膜と結合。
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傍肩甲骨領域:背側胸筋膜と呼ばれ、血管新生豊富な線維弾性層。
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褐色脂肪組織(BAT)が分布する重要領域(→ 体温調節・代謝に関与)。
🔸 深筋膜(deep fascia)
🧱 3層構造(浅葉・中葉・深葉)
① 浅葉(superficial lamina)
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僧帽筋・広背筋・大殿筋を覆う。
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胸腰筋膜の後葉を含む。
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項靭帯・棘上靭帯・棘突起(C7~L4)に付着。
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頸部・肩部・腹部の深筋膜と連続(例:三角筋筋膜・腋窩筋膜・胸筋筋膜など)。
② 中葉(middle lamina)
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菱形筋・後鋸筋とその筋膜で構成。
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菱形筋筋膜は浅層(棘下筋・棘上筋へ)と深層(前鋸筋筋膜へ)に分岐。
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棘突起・棘間靭帯(内側)⇄肋骨角・鎖骨胸筋筋膜(外側)へ連続。
③ 深葉(deep lamina)
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脊柱起立筋を囲む筋膜層。
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胸腰筋膜の前葉を含み、腱膜性筋膜として機能。
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脊柱起立筋は筋外膜で個別に包まれる。
💡 鍵となる構造:胸腰筋膜(thoracolumbar fascia:TLF)
🏗 多層構造(後葉・中葉・前葉)
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広背筋・大殿筋・腹筋群の力を統合し、安定性と運動連鎖を制御。
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後葉(superficial layer):
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浅筋膜直下。
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L4棘突起から仙骨・PSIS・腸骨稜へ付着。
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左右で交差しながら広背筋⇄大殿筋の力を結合。
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体幹の回旋・仙腸関節安定・運動時の力伝達に寄与。
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前葉(deep layer):
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腰椎肋骨突起に付着、内腹斜筋・腹横筋に挿入。
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TLFの緊張により腹横筋の収縮が誘発される。
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腰椎下部で後葉と融合し、仙骨・PSIS・仙結節靱帯に強固に付着。
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中葉:脊柱起立筋と腰方形筋の間を分ける筋膜。
🧵 腰筋筋膜(psoas fascia)
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腹横筋筋膜の延長と考えられる。
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後部:腰椎肋骨突起へ付着し、腸腰靱帯へ伸長(TLFの前葉と同構成)。
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前部:腸腰筋・腰方形筋を包む筋膜。
✅ まとめメモ
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背部筋膜は、体幹の支持・四肢との連動・姿勢制御・代謝機能に関わる複雑で多層的な構造。
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特に**胸腰筋膜(TLF)**は、筋膜ネットワークの中核として、運動機能と安定性を橋渡しする存在。
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