🌀筋膜螺旋とは?
運動や姿勢制御は、筋・腱・関節だけでなく、筋膜の「螺旋構造」によっても組織化されています。
この筋膜螺旋は、単なる直線的な張力では説明できない複雑な動きの調整に関与しています。
🔍筋膜構造の3層分類
概念 | 主な役割 | 構成線維 | 主な機能 |
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筋膜単位 | 一方向性の張力伝達 | 筋内膜・筋外膜 | 分節的な単純運動の構成 |
筋膜配列 | 姿勢制御と安定 | 深筋膜の長軸線維 | 身体の姿勢保持・軸の形成 |
筋膜螺旋 | 複雑運動の調整 | 斜走線維(支帯) | 多方向の動き・協調運動の同期 |
🧬筋膜螺旋の特徴とは?
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螺旋状の張力は、**融合中心(CF:Center of Fusion)**を中心に発生する。
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筋膜螺旋は、複数の筋膜単位を斜めに連結する「**支帯(retinaculum)」**を介して構成される。
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支帯は、腱の通過点などで複数の運動方向を交差・調整する役割を果たす。
🔧 支帯とは?
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腱と密接に関わる斜めのコラーゲン線維のネットワーク。
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同時に複数方向からの張力を受けられる柔軟な構造。
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すべての関節部に存在し、筋膜螺旋の「接点」として機能する。
🦴靭帯と支帯の違い
構造 | 主な役割 | 線維配列 | 特徴 |
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靱帯 | 骨同士を連結 | 一方向に整列 | 張力に対して抵抗性が強い |
支帯 | 筋膜単位を連結 | 多方向に交差 | 柔軟かつ動的な張力伝達が可能 |
💡支帯は「関節周囲の筋膜ネットワーク」として、靭帯とはまったく異なる性質を持ちます。
🔁分節における複雑運動の構成方法
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複雑な動作では、2つの異なる筋膜単位が同時に活性化される必要がある。
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その際、それぞれの腱が支帯に連結され、中央の“融合中心(CF)”で統合される。
CFが担う役割:
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異なる方向の張力を1つの動作へ統合する
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遠位と近位の筋膜単位を、あたかも新しい運動単位かのように連動させる
📌まとめ:なぜ筋膜螺旋が重要なのか?
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人の動きは単純な直線運動ではなく、回旋や斜め方向の複雑運動が基本。
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筋膜螺旋は、そうした動きを非線形かつ動的に統合するシステム。
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支帯があることで、筋膜配列の張力の方向が変換・合成される。
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臨床では、CFの部位に痛みや機能不全が現れやすいため、評価のポイントになる。
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