🧪 今回ご紹介する症例
20年以上持続した歩行時痛に超音波ガイド下Fasciaハイドロリリース(US‑FHR)が著効した1例
▶︎ 日本ペインクリニック学会誌(J‑Stage 2025年1月)
💡 症例の概要
- 患者背景:80代男性。30年前の頸椎症手術後から、右大腿外側部に歩行時の痛みが継続(26年間)。
- これまでの治療:神経ブロックなどの鎮痛治療やプレガバリン内服(睡眠副作用あり)などを試みたが、持続的な効果なし 。
🩺 US‑FHRでどう変わった?
- 超音波で原因を特定
右外側広筋の筋膜に**重積(癒着と思われる硬結)**を確認 。 - リリース手技を実施
0.025%リドカインを20 ml注入し、重積部を剥がすようUS‑FHRを行った 。 - 痛みが完全消失
注入直後から歩行時の痛みが「完全に消失」。
効果は1週間持続し、同様の施術を計9回繰り返すことで(2週間に1回の間隔で継続し、処置間隔を徐々に長くした)、プレガバリンも5 mg/日へ減量可能となりました。副作用はなし 。
✅ この症例が教えてくれること
- 慢性痛の新たな光:26年も続いていた歩行痛がUS‑FHRで解消。
- エコー診断の精度:患部を可視化して狙い撃ちすることで、的確かつ安全な介入が可能。
- 薬に頼らない選択:プレガバリンの副作用(眠気など)からも解放され、鎮痛剤の依存度を軽減。
🔚 まとめ
この症例は、“もう治らない”と思われていた慢性痛に対しても、US‑FHRが有効な介入になり得ることを示しています。
薬に頼らず、エコーという目で見て“剥がす”手技が安全かつ効果的だった点が非常に印象的です。
もし「ずっと歩くと痛い」「薬を減らしたい」という悩みを抱えている方がいれば、エコーガイド下の筋膜リリースは検討に値する選択肢かもしれません。
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