この論文は「健康寿命を伸ばすために、どんな運動・身体活動が効果的か」を探った内容です。
🔍 論文の概要・目的
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健康寿命を延ばすには、ただ長生きするだけでなく、体が動く“元気な期間”をできるだけ長くすることが大切。
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日本人(18〜64歳)を対象に、目安とする運動量・身体活動量を設定し、それを達成するための手法(例:インターバル速歩)や併用できる栄養戦略について論じています。
🧮 日本人向けの目安:身体活動・運動の指標
論文では、次のような目標値(目安)が示されています。
| 項目 | 指標 | 内容 |
|---|---|---|
| 身体活動 | 23 メッツ・時/週 | 日常生活を含む“動く量”の目安。ウォーキングなどを含めた活動量。 |
| 運動(エクササイズ) | 4 メッツ・時/週 | 意図的な運動(ウォーキング、ジョギングなど)としての量。 |
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これらをクリアすることが、生活習慣病予防・体力維持・老化抑制に関連してくると論じられています。
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この基準を「毎日の生活+運動」の合算で達成するのが理想的。
🚶♂️ 注目:インターバル速歩(Interval walking training)
この論文の中では、普通の速歩・ウォーキングよりも効率よく効果を出す運動法として「インターバル速歩」が紹介されています。
やり方(例)
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速歩(速めの歩行)3分 → 普通歩行3分 → これを繰り返す
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週あたり速歩部分の合計を60分以上にするのが目安
期待できる効果
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持久力(最大酸素摂取量)の向上
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筋力(特に脚)アップ
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血糖・脂質・血圧など生活習慣病リスク因子の改善
この方法は、普通に歩くよりも効率よく “動く力” を強化できる可能性が高いと述べられています。
🍽 栄養との併用で相乗効果を狙う
運動だけでなく、**運動直後の栄養摂取(たんぱく質+糖質)**を組み合わせることで、さらに効果が高まるという話もあります。
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血漿たんぱく質量や血漿量の増加
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筋量・筋力増強(特に脚)
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循環機能の改善
高齢者でも運動と食事を組み合わせることで、体力低下を遅らせる可能性があると論じられています。
⚠ 注意点・限界・課題
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個人差が大きい:年齢、体力、既往歴などによって、同じ運動量でも効果・適切性が異なる。
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継続性:目標値を達成するのは簡単ではなく、生活に取り入れる工夫が必要。
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“目安”であって絶対的なルールではない:体調や生活スタイルを見ながら調整するべき。
📚 参考文献
岡崎 和伸(2017). Health-span を延ばす運動の効果 / EXERCISE: THE WAY TO EXTEND OUR HEALTHY LIFE-SPAN. 日本生理人類学会誌, 22(1), 39-44.
(PDF: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpa/22/1/22_39/_pdf )

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