📝【上肢の筋膜まとめ】
■ 浅筋膜(Superficial fascia)
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非常に薄く、皮下脂肪との境界が不明瞭
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胸郭・背部・上肢の浅筋膜は腋窩に向かって連結
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大胸筋・三角筋・広背筋を覆う筋膜と滑らかに連続
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肩周囲では三角筋・僧帽筋に続く浅筋膜を形成
■ 深筋膜(Deep fascia)
● 肩の筋膜構造(Shoulder fascia)
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浅層:僧帽筋・広背筋・三角筋・大円筋・大胸筋などの筋外膜が連結
→ 頸部深筋膜の浅層と連続(胸鎖乳突筋・僧帽筋周囲) -
深層:棘上筋・棘下筋などを包む腱膜筋膜
→ 肩甲挙筋・肩甲舌骨筋・菱形筋・鎖骨胸筋筋膜・前鋸筋筋膜と連続 -
⏩ 2層の間には**三角筋下包(subdeltoid bursa)**があり、肩関節の滑走性を支える
● 三角筋筋膜(Deltoid fascia)
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前部・側部・後部が上腕筋膜と連続
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近位で僧帽筋筋膜と続き、肩峰・肩甲棘・鎖骨に部分付着
● 腋窩筋膜(Axillary fascia)
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四辺形の強靭な線維性構造
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周囲の筋膜と連続:
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外:上腕筋膜
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内:前鋸筋筋膜
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前:大胸筋筋膜
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後:広背筋筋膜
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● 肩甲下筋筋膜(Subscapularis fascia)
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肩甲下窩を覆う薄い腱膜筋膜
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前鋸筋との間に滑走面を形成し、肩甲胸郭連結の安定化に貢献
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烏口下筋包(subcoracoid bursa)と連結して滑走経路を調整
● 棘上筋・棘下筋筋膜
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棘上筋筋膜:頸部〜前胸部の筋膜と連続(肩甲棘上で棘下筋膜と接合)
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棘下筋筋膜:棘下筋と小円筋を覆い、棘下窩に固定
■ 上腕筋膜(Brachial fascia)
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上腕部の主要な深筋膜
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近位で:
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腋窩筋膜
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大胸筋筋膜
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広背筋筋膜
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三角筋筋膜
と連続
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遠位では前腕筋膜へ続く
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内外の筋間中隔(intermuscular septum)を形成し、筋群を区画
■ 前腕筋膜(Antebrachial fascia)
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前方・外方・後方の3区画を形成
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遠位で橈骨・尺骨の茎状突起に強固に付着
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橈側・尺側の手根屈筋は深層に存在し、遠位では前腕筋膜と融合
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手関節部で:
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屈筋支帯(flexor retinaculum)
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伸筋支帯(extensor retinaculum)
により補強 → 一部では「輪状靭帯」とも表現
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■ 手の筋膜構造
● 手掌筋膜複合体(Palmar fascial complex)
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構成要素:
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手掌腱膜(palmar aponeurosis)
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深手掌腱膜
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母指球筋膜・小指球筋膜
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内転筋筋膜
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それらを結合する中隔構造
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● 手背筋膜(Dorsal fascia)
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浅葉:伸筋腱を覆い、手根伸筋支帯に結合
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深葉:背側骨間筋の上に位置し、中手骨の骨膜と融合
● 指の深筋膜(Digital fascia)
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浅筋膜は存在しない(皮下脂肪が極めて薄い)
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関節周囲の支帯により補強され、滑走性と安定性を維持
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