下肢の筋膜螺旋まとめ
基本構造
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下肢の深筋膜は、複数層で形成される部位と単一層の部位がある。
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深筋膜は浅筋膜の下を滑走する部位と、手足のように2層が一体化する部位がある。
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筋膜は筋外膜上を自由に滑走することが多いが、一部は筋と一体化し、筋膜単位間の連結や骨挿入による関節角度変化の伝達に関与。
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骨への挿入がある筋膜中隔により筋膜配列が分割され、螺旋状のコラーゲン線維が関節を結びつけている。
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筋膜螺旋は筋線維と連続し、筋紡錘やゴルジ腱器官の伸張感覚にも関わる。
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疎性結合組織により筋膜螺旋は滑走可能で、大きな張力がかかる部位では筋膜が張力を調整。
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生物の進化とともに新しい筋膜構造と神経結合が発達し、運動戦略の多様化に寄与。
主な筋膜螺旋と特徴
1. Re-la-pe 螺旋
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起始:足部の下腓骨筋支帯(外輪状靭帯)
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経路:足関節外側から内側へ → 脛骨内側縁を8字型に螺旋 → 膝窩部 → 腓腹筋外側頭 → 内転筋鞘 → 恥骨筋の筋膜 → 外腹斜筋筋膜へと連結
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特徴:膝窩支帯は網目状のコラーゲン線維で構成され、腓腹筋の牽引力が内転筋鞘へ伝達
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CF(コーディネーション・フォーカス):
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外果後方の3点(上腓骨筋支帯上方、アキレス腱停止部外側、下腓骨筋支帯上方)
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An-me-ta:上伸筋支帯内側、脛骨上方
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Re-la-ge:大腿二頭筋遠位腱上、腓腹筋外側頭近位
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An-me-cx:大腿前部、縫工筋鞘下方、恥骨弓状線外側縁
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2. Re-me-pe 螺旋
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起始:足部内側支帯(屈筋支帯)
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経路:足関節内側から外側へ横中隔を伸ばし → アキレス腱深部通過 → 腓骨遠位1/3 → 下腿上伸筋支帯前部線維と連結 → 腓腹筋内側頭通過 → 縫工筋鞘経由 → 大腿筋膜張筋起始まで上行
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CF:
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内果とアキレス腱間の3点(屈筋支帯上縁、アキレス腱停止部内側、屈筋支帯下縁)
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An-la-ta:外果上方、腓骨前方、第三腓骨筋起始部
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Re-me-ge:半膜様筋と半腱様筋間、腓腹筋内側頭後側縁
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An-la-cx:上前腸骨棘下、大腿直筋・縫工筋腱・大腿筋膜張筋間
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3. An-la-pe 螺旋
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起始:第4中足骨基部
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経路:伸筋支帯上行線維 → 足関節外側 → 深層後下腿筋膜 → 脛骨内側顆直下 → 大腿四頭筋展開 → 膝蓋骨前方通過 → 大殿筋牽引に連結 → 坐骨結節 → 仙骨上、大殿筋線維、股関節包へ連続
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CF:
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外果と伸筋腱間、第4中足骨基部、第4中足骨頭の3点
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Re-me-ta:アキレス腱内側と脛骨間溝
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An-la-ge:膝蓋骨外側上方、膝蓋腱外側、腓骨頭と脛骨結節間
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Re-me-cx:仙尾関節側方(尾骨疼痛改善ポイント)
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4. An-me-pe 螺旋
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起始:足部内側、前脛骨筋近位部の十字支帯(下伸筋支帯内側帯)
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経路:足関節を囲む十字形支帯 → 下腿筋膜コラーゲン線維 → 下腿後外側部 → 腓骨筋鞘 → 脛骨外側顆 → 膝関節支帯 → 内側広筋牽引 → 大内転筋筋膜 → 殿溝 → 大殿筋下部、泌尿生殖器筋膜、大腿筋膜張筋筋膜へ連結
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CF:
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内側楔状骨と前脛骨筋間、前脛骨筋先端前方、第1中足骨基部と内側楔状骨の前脛骨筋停止部の3点
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Re-la-ta:長・短腓骨筋腱上
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An-me-ge:膝蓋内側骨上縁、内側側副靱帯、脛骨内側顆尾側の腱
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Re-la-cx:坐骨結節外側部と大転子間
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